こんにちは、薬屋の凪です。
布団に入った瞬間、「今日も眠れなかったらどうしよう」と不安になる。時計を見ては「あと5時間しか眠れない」と計算して、ますます目が冴えていく。そんな夜を過ごしていませんか。
眠れないことそのものより、「眠れないかもしれない」という怖さのほうがつらい。この状態は「不眠恐怖症」と呼ばれることがあります。正式な病名ではありませんが、眠れない日が続けば誰にでも起こりうる自然な反応です。
眠りは、頑張るほど遠ざかる
眠りは、自分の意思で起こせるものではありません。体の準備が整うと、向こうから自然にやってくるものです。
ところが「眠らなきゃ」と強く思うと、体はそれを「大事な場面」と受け取って、緊張モードに入ります。すると頭がさえて、ますます眠れない。眠れないと、次の夜はもっと不安になる。こうして、不安と不眠がお互いを強め合うループができあがります。
厚生労働省の研究班による指針にも、「眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする」と書かれています。眠れないのは努力が足りないからではなく、むしろ頑張りすぎているサインなんです。
時計を見るほど、不安はふくらむ
眠れない夜は、つい時計を見てしまいますよね。ある実験では、寝つくまで時計を見続けてもらった人は、見なかった人よりも寝る前の心配ごとが増え、寝つくまでの時間も長くなりました。
また、眠れない悩みを抱える人は、実際よりも「眠れなかった」と感じやすいことも分かっています。つらさが気のせいという意味ではなく、「一睡もできなかった」と感じた夜でも、体は思っているより眠れていることが多いんです。
今日からできる、やさしい「ゆるめ方」
コツは、眠りを「取りにいく」のをやめて、「来るのを待つ」側にまわることです。ひとつだけでも試してみてください。
- 時計を見えない場所に置く:時計は裏返すか、見えない場所へ。「あと何時間」と計算する不安がひとつ減ります。
- 眠くなってから布団に入る:「0時だから寝なきゃ」ではなく、あくびが出る、まぶたが重いといった眠気を合図にしましょう。
- 目標を「眠る」から「休む」に下げる:布団の中では「目を閉じて横になっていれば十分」くらいの気持ちで。「眠らなきゃ」を手放すと、かえって眠りが近づくことがあります。
- 焦ってきたら、一度布団を出る:眠れないまま悶々としていると、布団そのものが「眠れない場所」として体に覚えられてしまいます。薄暗い別の場所で静かに過ごして、眠気が戻ってから布団に戻りましょう。
- 起きる時間はそろえる:眠れなかった翌朝も、起きる時間はできるだけ動かさないでください。
眠れないだけでなく、不安や落ち込みがつよいときは
眠れないだけでなく、不安な気持ちが強い、気分の落ち込みがある。そんなときは、一人で抱え込まずに医療機関に相談してください。眠れないのは、いろいろな原因が絡み合ってる場合もあります。心療内科でなくても、まずは内科で大丈夫です。医療機関に相談し、自分を見つめなおすことが案外近道な場合もあります。
薬剤師としてひとつだけ。ドラッグストアの睡眠改善薬は「一時的な不眠」のためのお薬で、説明書にも「日常的に不眠の人」は服用しないよう書かれています。続く不眠こそ、医療機関に相談してくださいね。
不眠恐怖症のしくみを知って、布団を少しでも安心できる場所にしながら、一緒に豊かな人生にしていきましょう。
お問い合わせや“X”にて相談も無料で受け付けています。「布団に入ると不安になる」「時計が気になって眠れない」「眠れなかった翌日が怖い」など、何でも構いません。なにか困っていることがあれば、お気軽にご相談ください。
ゆるめる、くらし。 
